自伐型林業への道
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サイト管理者について:

『サ イト管理者自己紹介』 
 匹見・縄文の森協議会の高濱と申します。4年前に夫婦で関東より島根県にIターンをしました。それまでは、企業研究所の計測システムインテグレーション の仕事が長く、その間にもっと自然の中で暮らしたいと模索をしておりました。その後、1998年頃だったと思いますが、インターネットビジネスに転換した 其の合間に、東京都下の森林組合の下請けや森林ボランティア的な活動をおこないつつ、無農薬無肥料栽培なども試していました。

 其の当時から山仕事の道具も色々工夫したりしていたので、全国林業改良普及協会から発行されている道具の本にも道具の楽しみ方や、修理修復、工夫のノウハウなどを執筆(ペンネーム)させてもらったりしています。
 移住前には、柔な自分が本格的に山仕事が出来るものなのか、また基本的なことを身につけたいなどと妄想が先走り、いい年になっていることも顧みず、神奈川の水源林保全を行なう事業体に所属して若い人たちに揉まれながら丹沢山塊の山の中を重たい道具(時にはチルホールと20mワイヤー、チェンソーに燃料、オイル、個人装備と弁当など)を担いで這いずり回っていたのです。(^^;; いや、大変でしたが楽しいことも多かったです。ま、リアルで健全だったのは確かです。

  一方、妻は両親との家族三人で無農薬野菜を出す可成りこだわった蕎麦屋を営んでおりましたが、どうしても放射能の懸念から抜け出せず、お客様にお食事を安心して出せないために一旦、店を休業にして知人が居るこちらに遊びに来たのです。
 そしてこちらに来たら、海も山も奇麗で、そして其の幸が都市部とは違い非常に美味しいものばかり。食べ物屋を営んでいた妻はそれだけでノックアウトでした。

 それはわたし自身も同様ですが、さらに良かったのは落葉広葉樹が素晴らしく多い山々ばかりだったこと。この辺りは、森林の70%程度が広葉樹の地域が殆どです。人も良いし、自然も豊かで食べ物が格別に美味しい。そして、そのまま標高450mの熊さんんたちが家の周りにも出る 素敵な山奥へ居座ってしまったのです。

 昔は東北、信州、紀州、北海道など田舎暮らしがしたくて色々回りましたが、なぜか島根の西の端に落ち着いてしまった次第で す。そして、こちらは居心地が良いので、家族や友人にもこちらへの移住を勧めているのが今です。

 こちらに来てからはお陰様で地域活性化の職務に携わって居たので多くの方々と知己となることができ、また林業関連では島根県全域でつながりができております。個人的には住む地域の人たちと立ち上げた協議会で、伐木とお金を掛けない搬出方法のノウハウ講習、そして防災と木質バイオマス活用のノウハウ講習などを行なっています(本業が忙しくかったことと、山奥でネットが出来なかったので放置状態のWebサイト)。


 道具のページにも書きましたが、今は優れた小型機械が沢山ありますし、昔からの技術と知恵を併せてシステムを構築出来れば、安全に効率よく山の宝を搬出できる手法が様々に確立出来るはずなのです。事業体では効率優先ですから、そういったチャレンジも出来ません。

 自営業の自伐型林業では、自分たちの知恵と工夫と経験と技術で様々なアプローチが出来ます。安全のための自己コントロールを配慮しながら、プロとは違った切り口で山仕事が出来るスーパー素人が沢山生まれることが、地域の山を守ることに繋がりますし、地域の自立、自分の生活の自立にも繋がるのではないでしょうか。

 我々の前の代の山棲みの人たちは何でも出来ました。農林食住衣に関わる事、地域の公共的なものの普請、つまり道の維持から何からですね。人によって向き不向きはあったでしょうが、其々に得意分野があったり好きなものがあったりして共同体の中で居場所があったのでしょう。其の中で精神的未熟さから来る軋轢は多々あったし、今でもありますが、我々の時代に於いてはそういったレベルを超えて互いをリスペクトしながらより良い形の共同体やネットワークにして行けばよい訳です。

 それには山と共に生きられる力を我々一般人が再度持つ必要があると思います。但し、生業として林業に携わるには明確に適正があると思います。でも、自伐型であれば自分で適正と出来る範囲を探りながら自分のペースで行なう自由があります。
 勿論、危険な要素は常にありますので、そういった兆候にフォーカスする意識を持てない人はそもそも山や自然の中では暮らせるタイプではないでしょう。でも、そういったチャレンジについて他人がどうこう言う問題ではないと考えます。惹かれるものがあるならばトライしてみてから判断すればよい事です。

 何れにしても、山仕事(山で暮らすのに必要な作業)が出来る人たちが増えることが、森林の保全にも繋がりますし、また林業を生業とする次のステップに進む人たちの育成にもなると思います。まともな林業を行ないたい人たちを増やすには底辺のレベルアップから入る事が必要かと。

 そして、適正の無い人がいきなり事業体に入っては互いに良い事にならないでしょう。事業体の中には取り敢えず雇ってから育てればよいと考えるところがあるようですが、無理な人はどうやっても山で仕事は出来ないと思います。そういった人たちは、別の生業を行ないながら山に携わればよいでしょう。放置林、不在地主が増えつつある現在、其れ等への対策を行政が組めれば、本当の意味での自伐型の林業の基盤が整って来ると思います。それには、山に携われる若い人を増やしておく事が先ず必要ではないでしょうか。

島根一大きい木がある集落住

e-mail:synchronix@myad.jp(アドレスのxをcに置き換えてください)
島根県林業研究グループ連絡協議会理事/
島根県森林インストラクター/匹見・縄文乃森協議 会会長

『地域に根付いた仕事を創り出す』
 平成26年度には、高津川ウッディクラフト有限責任事業組合に所属して町の委託事業を行ないました。総務省の地域おこし協力隊制度によって、都市部の若 者達に働きかけて津和野町に移住してもらい自伐型の林業のサポートが出来るようになって貰うという事業です。数年前よりご縁の有った各自治体に提案して企画書を出して来たことと合致した事業を津和野町がやりたいことだったので、応募して行なう運びとなりました。
 協力隊応募ポスターや町のHPの応募要項ページ、事業内容ページを作成し、また町民の方々への啓発情報発信と各研修会の運営を年間行ないました。そして協力隊応募者への対応と体験講習と地域巡りをサポートし、年度内に3名、翌年度に2名着任して皆さん研修中です。

 其の事業中に所属していた高津川ウッディ・クラフト有限責任事業組合では、マテリアル利用のために使う材(針葉樹、広葉樹)を間伐して供給できるような体制作りができれ ば事業者の用材自給自足体勢がとれますし、広葉樹が多い此の地域ではその大事な資源である広葉樹をチップなどで燃やしてしまうだけでなく活かせる様な体勢作りも行っていきたいと、今後も協力関係をもって推進して行くことになります。

 ところで、中島健造氏によれば、日本の事務機器に使われている広葉樹の90%以上が海外からの輸入のものだそうです。これらを国産材に置き換えて行くだけでも市場は大き いものがあります。この広葉樹を搬出するための小規模の自伐的技術とシステムの構築が出来れば、山も保護され、また携わる人たちに対しても充分な利益を生み出すものと皆で期待しています。
 其の様な未来を創り出すために、この文字が多いWebdサイトになってしまっております。今後、まだまだ発信して行くことが沢山ございますのでお付き合いいただければ幸いです。

 

『高津川ウッディ・クラフト有限責任事業組合の構成員』
【組合員】 平成24年1月31日現在
青柳建具店   島根県鹿足郡津和野町森村口23-1
(株) 益田原木市場 島根県益田市高津7丁目7-16
津田木工所   島根県鹿足郡吉賀町237-1
(有)平和木工  島根県鹿足郡 津和野町枕瀬372-3

【準組合員】
Wood pecker  島根県益田市匹見町匹見イ915

 

『高津川ウッディ・クラフトの事業』
高津川ウッディ・クラフト有限責任事業組合は、平成21年に高津川流域の木工所5事業者と木材加工業者1事業者ならびに、島根県西部山村振興財団がメンバーとなって設立された「高津川流域材の家具・建具づくり協議会」の活動をさらに継続し、発展させるためにH24年1月に再構成した事業体です。
 組合員いずれの業歴は長く、特徴のある新製品を開発する技術をもっていて、CAD等を利用したNC加工も行っているので量産化も可能です。

 設立当初より、京都精華大学PD学科教授、同大学院デザイン研究科長、大阪芸術大学大学院客員教授井上斌策先生の指導を受 けており、すでに流域の杉・檜を使った製品でグッドデザイン賞を三度受賞しています。わが国の伝統である木の文化を継承進化させるために、H25年度から、学生の木工デザインのコンペティションを開催しています。

木材は通常、製材・乾燥等の加工の後、製品の部材として利用しますが、特別な加工を施すことにより素材の弱みを軽減でき、また特殊な形状にすることで木材の 「湾曲LVL加工」や「圧縮加工」が可能になります。この特殊加工を施した素材を利用することにより独自のデザインを有した製品や強度を高めた製品を開発 できます。
このために、杉の「温かみ・柔らかさ」という特徴を前面に出した商品開発を可能とします。これらの技術を活用し研究開発と新製品開発を行っています。

 

『学生木工デザインコンペティション運営』
 H25年度に益田市の島根県芸術文化センター(グラントワ)で行われたデザインコンペの授賞式にはシンポジウムを開催して、大阪芸術大学学科長の喜多俊 之先生、島根県芸術文化センター長、彫刻家の澄川喜一先生、京都精華大学PD学科教授、同大学院デザイン研究科長、大阪芸術大学大学院客員教授井上斌策先 生の講演とパネルディスカッションが開催されました。世界で活躍される先生方の講演の内容は森林や木に携わるものにとっても啓発されるものでした。

 

『デザインの概念について』
 自伐型林業を目指すものにとっては、山造り森林づくりはデザインそのものです。その上、生きている樹や植物の特性、生態などを考慮しながら保全することが必要です。また、山そのものを生き物として、水の流れや風の流れなども配慮した上で樹種を育成すること、そして豪雨で出水した場合にも山を壊さない作業 路づくりも求められます。

 この作業路づくりもデザインです。山には沢がありますが、それ以外にも林床の下を走る水道(みずみち)もありますし、日頃は乾いていて分かりませんが大 雨の時だけ沢になる筋もあります。そのために、作業路を開設する際には、大雨が降ったときに一箇所に流れる水が集中しないように、直線で採れるところでも、わざとうねりを入れたり、カーブを作る際に山の斜面なりに路の外側を低くします。いま見えていない条件まで考慮しつつイメイジを巡らせて、山の斜面に 2tトラックぎりぎり通れる巾の狭い路をつけます。

 そのために、自伐型林家の山の作業路は、長年のあいだに山と同化してしまい違和感がないのです。大雨の際の水の流れにも抵抗しないのでしょう。これは山 に合わせてデザインしているからではないしょうか。
 自分たちの都合だけでない、山や自然からの恵みを頂くというスタンスで取り組むことが、自然からの信号を受け取りやすい感覚を磨けます。だからこそ、持続的な経営や環境維持ができるのです。

事務所立地』
 コーディネータ配置後に高津川ウッディ・クラフト有限責任事業組合は、高津川沿いにある高 津川森林組合日原製材所の建物の中に事務所を構えました。ウッディ・クラフトで使用する木材は、製材所内で流域材を低温乾燥によって一度含水 率6%まで落とし、あとは自然 乾燥による2週間の養生期を経て10から12%まで含水率を戻しています。この過程によって製品の出荷後に含水量が変動しないようになるために製品の安定 性 が良くなるとされているからです。
 
 製材所内は、流域材のポテンシャルを表すかのように製材された分厚い長尺材がいたる所に山積みされています。厳しい環境の中で育った木が、その素性を活かせるようにと願っているかのようです。
 その素材活用のための体制がかたまりつつありますので、流域材を使用した製品がブランド化されるように事業推進を行ないます。皆様方のご指導ご鞭撻を賜 われれば幸いです。

以上


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